2013年10月01日

馬は、モンゴル人にとって特別な家畜であり、切り離して考えることはできない。
馬を捕まえるには、オールガ(uurga)と呼ばれる、輪が先に付いた長い棒を用いる。その長さは様々で、1本でまかなえない時は、途中で相互に切り込みを入れ、組み合わせるようにして接いで作ることもある。その場合は、接いだ部分を細い皮でしっかり固定する。オールガは神聖なものなので、地面に置いてあっても跨いではいけない。輪のついていない方をぐるりと回って向こう側に行く。もし雨が降れば、家の西側のゲルの帯部分に立てかけて置く。

輪は、ノロジカの皮3本を撚って作ったものが良い。しかし、ノロジカの皮を手に入れるのが大変なので、ほとんどの家では綿の少し太めの縄を用いていることが多い。もし細い紐で作ると、馬の首に掛けた時に首を傷つけるので、好まれない。

男性は、オールガを両手で持ちながら馬に乗り、(もちろん、馬は両手を離して乗る!)目指す馬を追う。その姿は、天晴れと言うしかないぐらい、かっこいいものである。

捕まえた馬の頭に、馬勒(hazaar)とハズナ(nogt)を付ける。これに手綱や引き綱が付いており、馬に乗る準備となる。銀装飾で飾られたものもあり、ナーダムやお正月には、おしゃれの一環として、使用することが多い。

鞍は、座る部分が木で出来ており、装飾に銀の飾りや縁取りがある。中には、象牙で縁取られているものもある。前後が高くなっているため、モンゴル人のように立ち乗りして馬に乗るのには、最も適している。鞍の後部には、革紐がぶら下がっていることもあり、そこに荷物をぶら下げたり出来る、優れものである。

馬を止めておくには、いくつかの方法がある。誰かの家に行けば、縄が張ってあるので、そこに繋いでおくのが一般的である。草原では、前2本と後1本の3本足を固定するチュドゥル(chudhur)、前足2本のみを固定するトシャー(tushaa)、前後2本を固定するウルール(uruul)などといった方法がある。