まじですかー

2014年06月01日

遊牧なんて、頭でわかっていたけれど、実際にやってみると、あまりにも羊や山羊が言うことを聞かなくて、落ち込んで思わず地面に膝をついてしまうこと、何回。

どうにか、1人で遊牧できるようになった頃、サンボーがナランを連れて隣村のブルンに行くことに。今日は一日、完全に1人で放牧だあ。

とりあえず、ゲルの近くに放牧。ちょくちょく、ゲルから顔を出して、近くにいるのを確認していたのだが、ボルツク(揚げパン)を揚げている間に、見えなくなってしまった。ヤバイよー。でも、まだ全部揚げ終わらないので、とりあえず、揚げ物に集中。そこへ、スフおじさんが馬に乗ってやってきた。家に入ってきたスフおじさんに一言「うちの羊達、見なかった?」。近所の人達は、私の飽きれるような質問にももう慣れていて、「そう聞かれると思ったから、さっきこっちに近づけておいたぞ。」いつもいつも、すみませんねえ。

油断して話し込んでいる内に、羊達が川のほうへ、崖を下ってしまった。今度は自分で羊を追った。みんな喉が渇いて川に水を飲みに行ったようである。羊達が水を飲んでいる間、川で遊んでいた。はっとみたら、なんと羊が一匹ぬかるみにはまっているではないか。慌てて駆け寄ったら、自分もはまった。それでも必死に羊を引っぱり上げるのだが、大きくなった羊は普通でも持ち上げられないほどの重さである。とにかく、火事場の馬鹿力で必死に引っ張り上げ、無事ぬかるみから引き上げたのだが。。。今度は自分が出られなくなった。助けた羊は恩も知らず、他の羊達とともに、喉も潤ったのか、どんどん遠ざかって行く。さみしすぎる。。。

とりあえず深呼吸。羊達はいなくなっても知らん。サンボーが一日中いないのがいけないんだ。他のお家の羊と混ざっちゃうなら、混ざっちゃえ。分けるのも、サンボーの仕事だ!悪態ついたら、すっきりした。とりあえず、一歩ずつ足を出すことに集中。脱出できた頃には、太ももまでどろまみれ。サンダルは救えなかった。腰までズボンのまま入って、ジャブジャブ洗って、さあ放牧の再開。

と思ったら、またまたスフおじさんと遭遇。ずぶぬれの私を見て、何事か?と聞かれたので、話すと、飽きれてお茶でも飲んで行け、言われ、遊びに行った。チムゲーおばさんにその話をしたら、「そんなことをしたら、自分が抜けなくなって危ないから、まずは人を呼びなさい!」と怒られた。何かあったら、すぐに来なさいと言ってくれ、安心してゲルへ帰る。

羊はゲルのそばまで、スフおじさんが連れてきてくれていた。
安心して、家で少しゴロゴロしていたら、また羊達が遠くに行ってしまった。慌ててゲルを飛び出し、後を追う。追いついて、方向転換させ、歩いていると、何か空が暗くなってきた。何気なく横のマイハンボローの丘を見ると丘の向こうが赤い。えっと思った瞬間、私は砂嵐の中にいた。痛いし、何も見えない。足元の羊達が風に押されて、すごい勢いで進む。私も一緒に進む。どこに向かっているのかなんて、知らん。歩き続けると、川へ下る崖に来ていた。崖を下ると少し風が和らいだ気がした。崖下で羊達がピタッと止まった。どうやら、ここが嵐避けにいいらしい。そのまま立ち止まって、嵐が去るのを待つ。

きっと10分くらいのことだったのだろう。でも、私には何時間にも感じた。突然、青空が広がった。口の中がジャリジャリしていることに気がついた。馬の姿が見えた。スフおじさんの息子のトンガーだ。天気が怪しくなってきたので、みんなゲルに避難していく中、呑気にゲルを出て行く私を見たらしい。その後、嵐が来たので、心配して見に来てくれたらしい。

またスフおじさんのゲルに行って、一休みする。チムゲーおばさんは、「ボルフーは今日一日ちゃんと働いたんだから、もう羊は放っておきなさい。一日中出かけるサンボーが悪いのよ」となぐさめてくれる。

散々。使えない。お馬鹿。嫌な言葉だけが頭を回る。
でも、仕方ないよー。今まで、こんなコトしたことないんだから。反省も短いぼるふ~なのである。

夜中、ほろ酔いのサンボーが戻る。今日一日の出来事を興奮して話すのに、「天候でも何でも、危なさそうだったら、放っておけばいいんだよ」の一言でお終い。
ブチンと切れた私はサンボーの親戚に、もう大変だったのー!と話しまくり、サンボーは怒られまくり。たった一日のことをおおげさなんだよー!と怒りまくるサンボーに、ザマーミロ。